学術研究奨励賞

受賞者

安井 久一 (ヤスイ キュウイチ)氏

国立研究開発法人産業技術総合研究所 主任研究員

(研究テーマ)ウルトラファインバブルの存在安定化機構の理論的解明

授賞理由

直径100ナノメートル程度の小さな気泡であるウルトラファインバブルが水中で数か月以上も消えることなく存在し続けることは実験的に観測されていましたが、なぜ長期間安定に存在しえるのかについてそのメカニズムは長年不明でした。多数の仮説が提案されるなか、受賞者は水中に極微量に含まれる水に馴染まない疎水性の不純物に着目し、疎水性物質がウルトラファインバブルの表面に付着すると、ウルトラファインバブルが消滅することなく安定に存在出来ることを理論的に示す仮説を導くことに成功しました。この仮説は他の研究者の実験によっても検証されウルトラファインバブルの存在安定化機構を説明する有力な理論となっています。受賞者の業績はウルトラファインバブルの疑念を打ち払い、その存在を証明しています。これらの成果は学術的な価値とともに、社会普及が進むウルトラファインバブル技術の社会的信用の確立、今後のウルトラファインバブル研究の発展の礎として高く評価されています。以上の功績を讃え、学術研究奨励賞を授与いたします。

学歴

1991年早稲田大学 理工学部物理学科 卒業
1993年早稲田大学大学院 理工学研究科修士課程 修了
1996年早稲田大学大学院 理工学研究科博士課程 修了

職歴

1995年-1998年早稲田大学 理工学部物理学科 助手
1998年-1999年日本学術振興会 特別研究員(PD)
1999年-2001年工業技術院名古屋工業技術研究所 研究員
2001年-2005年独立行政法人産業技術総合研究所 研究員
2005年-現在国立研究開発法人産業技術総合研究所 主任研究員

受賞歴

2021年日本ソノケミストリー学会賞